もはや時代は「エネルギー戦争」とも揶揄される昨今
MADMAXな世界に突入したと言われる訳でありますけども
実は、昔からやってることは変わっておらず
今昔、同じことの繰り返しでございます
ボクの生まれ 筑豊は田川という炭鉱だったまち
九州には長崎の爆竹祭り、熊本のボシタ祭りと大きなものがありますが
田川は盆踊りでございます
お盆が一番のイベントだと言っても過言ではない地域であります
日が沈むと踊りはスタートし、夜が明けても踊っております
今も昔も変わっておりません
んで、大事なのが「口説」という輪の中心で歌う唄があります
じいちゃんが中心で一人マイクを持ち口説きます
これぞ盆踊りの華でございます
「月が~~出た出た~~月が~~出たぁ~~ヨイヨイ♪」
の炭坑節なる口説ももちろん有名でございますが
もっとDEEPなものがあるわけでございます
外に出ることのない「口説」だと思いますが、昨今のエネルギー事情と似た節があり
田川の人たちの気質も同時に堪能していただける上に、貴重な資料となります
そして、なんでいきなり盆踊りを中心なのかと言いますと
ただ、片付けをしてたら辞書ぐらいの厚みの「口説集」が出てきて
書けと言われた気がして書いてます
そういうことで、いくつかご紹介いたしますので
吟味していただければこれ幸い
炭都田川今昔口説
私しゃ豊前の田川の生まれ
山家育ちの不束者よ
色は元より真から黒い
人に好かれる女じゃないが
どこに惚れたか知らないけれど
我も我もとあまたの人が
雨降る日も風吹く夜も
今日も明日もと恋文送り
貴方無くては一夜も明けぬ
一目逢いたいお顔がみたい
早く来てくれ急いでおくれ
電報打つやら速達便で
分けてお客はどなたと聞けば
私鉄、国鉄、機関車さんや
海を走れる蒸気の船や
八幡製鉄所の溶鉱炉さんや
会社、工場と数ある中で
蒸気機関車を動かすために
私なくては出来ない業よ
日本ばかりか外国までも
重宝がられた私でござる
かくも過ぎたる我が身の幸を
思い浮けばげにありがたい
もって生まれた使命を果たし
生まれ故郷の田川のために
役に立ちたい報恩したい
堅く心にちかいてみれば
露の命も無におしからん
末はお釜の炎の中で
灰となる身も覚悟の上で
努め励んだその甲斐ありて
世にも知れない田川の里に
人の訝るお山が出来て
黒いダイヤの私の仲間
掘れば出る出るお金は入る
高い煙突は次第にふえて
狐、狸の住まいの山も
いつか開かれ炭住が並ぶ
街もにわかに家並み続く
鉄道敷かれて黒煙上げて
汽車は客引く貨物を運ぶ
昔淋しき田川もいつか
垢の衣をさらりとすてて
今じゃ筑豊でその名も高い
炭都田川とご出世なさる
炭都田川を育てんために
若いころから真面目にくらし
今日の日までも日陰をおしみ
黒くなるまで働き続け
何の非難も無い私も
月に郡雲、華には嵐
変わる浮世ぞ悩みの種は
ここに一つの悲劇がござる
南洋生まれでその名も高い
美人娘の重油こそは
年は十八、今咲く花
あいきょ良ければ草木もなびく
袖を引く人、よろめく男
色魔男が色目を使やあ
今は彼女も良い気になりて
どこもかしこも口説いて廻る
石炭の本場の田川までにも
心密かに魔の手を伸ばす
汽車に変わりてディーゼルカーが
笛を鳴らして走れる様を
鉱山の山やら社宅の陰で
じっとむながる田川の人の
悩み心を知る人ありや
ことに彼女の持ち若ぶりに
腹に立つのは市内における
学校支給のお釜を初め
さらに西区の横島地区の
観世音炭鉱を見てきてごらん
石炭たくべくお山の風呂も
重油娘の色気になびき
信じられない奇怪な事件
不思議きわまる今日この頃よ
いつもニコニコ笑顔でむかえ
私愛した皆様方よ
共に変わるな、変わりはせぬと
二世を契りしその人までも
先の情熱いつしかさめて
今は私に秋風ふせて
ついに彼女の色香に迷い
私見捨てて重油に走る
人の心は残ましものよ
心代わりの殿方よりも
なびく小女郎の重油娘
今に見ておれ怨みは深し
憎む心は夜も日も続く
悩み悶えた私であるが
心静めて思案をすれば
彼女この世にいでたる上は
とてもかなわぬ太刀打ちできぬ
これも世界の文化の進歩
時の流れは浮世の常よ
己が運命と気づいてみれば
彼女憎みし怨みは消えて
いかに愚かな私と悟る
心残りはお山の人よ
人の恐れる炭鉱深く
石炭にまみれて働くおくに
毎夜結べる明日への夢は
我子可愛いや成人させて
人に劣らぬ教養つけて
親の任務を果たした上で
せめて老後は気楽な暮し
願うお互いの心は同じ
長く勤めて年功を重ね
厚生年金資格を得んと
勤め続けて今日まで来た
ままならぬこの世の習
永く栄えた炭鉱も今は
石炭は売れない値段は安い
日々に寄せてくる不況の波は
職場変えやらボーナスへらし
金の未払い、分割払い
さらに大波打ち寄せ来ては
何処やかしこに閉山さわぎ
今日は他人の退職沙汰も
明日は我身の首かと恐る
望み少なきお山の暮し
たまに県外就職決まり
家族共々出て行く人も
馴れし炭住に名残をおしむ
出て行く人見送る人も
共に涙の悲しき別れ
こんな哀れな時代の波が
山に来るとはさてにくらしい
皆んなどなたも田川の人よ
山がありての田川であれば
山でかせぐもかせがぬ人も
山の不況はお互いの悩み
これをこのまま捨て置くならば
炭都田川のその行く末は
何と成るのか心に残る
皆よ嘆くな、うれうるなかれ
田川市内を調べてみたら
三井田川はまだまだ続く
頼み甲斐あるお山じゃないか
産業セメント掘れども尽きぬ
資源豊かな会社もござる
土地の生まれも他国の人も
同じ田川に住んだるからは
共に田川の市民じゃ程に
家族もととも田川の地下に
眠る覚悟を定めた上で
街に住むお山の人も
土地を耕す農家の人も
街をおこすに一腰たのむ
市民やこぞって協力すれば
他の会社を始めることも
望み捨てずに気長くやれば
やがて日がさす田川の空に
すでに産炭地政策成りて
国の救いも近きと聞けば
力おとさずくらそうじゃないか
今日はお盆じゃ仏の供養
声を惜しまず口説いてみれば
声にそろえて踊りが続きゃ
死んだ仏も皆喜ばん
人の供養は我が身のためよ
功徳めぐりて良いことあらん
踊り止めまい夜明けがきても
REBEL SONGでございます
外に出すなと昔は怒られましたが、臭いところまで含めての“今”でございます
臭いものには蓋をするのでなく、味わうべきだと
と、いうことでお口直しでも
真ん中唄口説
世界じゃ日本が真ん中で
日本じゃ九州が真ん中で
九州じゃ福岡真ん中で
福岡じゃ田川が真ん中で
田川じゃ金田が真ん中で
人にたとえて申すなら
頭ちゃギリギリ真ん中で
お顔ちゃお鼻が真ん中で
お腹ちゃおへそが真ん中で
三寸下がれば穴がある
おそまつ。
で、やっぱ最後は定番となります
炭坑節
一
かはらだけから見下ろせば ヨイヨイ
伊田の縦鉱が 真正面
十二時 さがりの
様ちゃんが ゲイジにもたれて
思案顔 サノヨイヨイ
二
月が出た出た 月が出た ヨイヨイ
うちのお山の上に出た
あんまり 煙突が
高いので さぞやお月さん
煙たかろう サノヨイヨイ
三
一山二山三山越え ヨイヨイ
奥に咲いたる 八重つつじ
なんぼ色よく 咲いたとて
様ちゃんが 通わにゃ
仇の花 サノヨイヨイ
四
俺も男だついて来い ヨイヨイ
たとえ茨の 道じゃとて
決して苦労は させやせぬ
俺の腕で 泣いてくれ サノヨイヨイ
日本の民謡ですが
これもまた、立派なREBEL SONGでございます
そして大事な歴史で、足跡でございます
以上、社会の授業でございました。